SFセミナー2021企画紹介
本会企画
SFと倫理
SFは科学技術の発達に伴い生まれた様々な倫理的課題をとりあげ、描いてきました。そして現在、AIをはじめとした科学技術と倫理の問題が顕在化する中、問題提起やイマジネーションの種としてSFが参照されるケースも増えています。
この企画では明治学院大学社会学部教授の稲葉振一郎さん、作家の長谷敏司さんをお迎えしてSFと倫理についてあらためて考えてみたいと思います。とりあげるのはAIとの関係で脚光を浴びるアシモフのロボット三原則。司会は八代嘉美さんです。(文責・新井勝彦)
●稲葉振一郎
1963年生まれ。明治学院大学社会学部教授。専門は主に社会哲学。著書に『銀河帝国は必要か? ロボットと人類の未来』(ちくまプリマー新書)、『宇宙倫理学入門』(ナカニシヤ出版)、『社会倫理学講義』(有斐閣アルマ)など多数。
●長谷敏司
1974年生まれ。2001年『戦略拠点32098楽園』にて第6回スニーカー大賞金賞を受賞。2015年『MyHumanity』(早川書房)にて第35 回日本SF大賞を受賞。現在、小学館ガガガ文庫にて『ストライクフォール』シリーズを刊行中。またアニメ化された『BEATLESS』が今夏、中国で『空匣人型』としてスマートフォン向けゲーム化、新作シナリオも手掛けている。
●八代嘉美
1976年生まれ。神奈川県立保健福祉大学イノベーション政策研究センター教授。専門は幹細胞生物学、分子生物学、科学技術社会論。
中国SF再び
中国SFが本格的に日本に紹介されてきました。2016年に陳楸帆(スタンリー・チェン)さんにご登壇いただいて、中国SFのお話を伺ってから5年、2023年には四川省の省都である成都でのワールドコン招致を行なっているところです。前回、中国では科学に対する啓蒙としてSFが推奨されていると伺いましたが、実際に中国では宇宙進出も始めて有人ロケットも飛ばしています。これは科学発展にSFが貢献したということでしょうか?ワールドコンのことや中国科幻小説の今をお話いただきます。(文責:立花)
●陈楸帆 チェン・チウファン/スタンリー・チェン
1981年生まれ。中国のSF作家。「中国のウイリアム・ギブスン」と評されており、サイバーパンクの旗手。SFセミナーのゲストとしては二回目の登場になる。日本語訳に長編『荒潮』、短編「鼠年」、「麗江の魚」、「沙嘴の花」(以上、早川書房)など。
●立原透耶 たちはら・とうや
1969年生まれ。小説や翻訳などをする教員。中華SFの紹介に人生を捧げている。『三体』(監修)、『三体II』(共訳)、『時のきざはし』(編訳)、『人之彼岸』(共訳)、『移動迷宮』(共訳)など。
●藤井太洋 ふじい・たいよう
SF作家。宇宙開発をWebエンジニアリングの視点で描いたテクノスリラー『オービタル・クラウド』で第35回日本SF大賞、第46回星雲賞日本長編部門を受賞。2019年にはインターネットの自由をテーマにした作品集『ハロー・ワールド』で第40回の吉川英治文学新人賞を受賞した。日本SF作家クラブの第18代会長(2015年〜2018年)を務め、現在も理事としてSFの振興に努めている。
●石亀航 いしがめ・わたる
1980年生まれ。2011年より東京創元社勤務。翻訳業は掲載先/依頼募集中。
怪獣動画の特異点——円城塔、ゴジラS.P〈シンギュラポイント〉を語る
2021年4月から地上波放映開始された新作アニメ「ゴジラS.P〈シンギュラポイント〉」は、SF作家円城塔氏が設定考証・脚本をつとめるということで話題になりました。六月、最終話までの放映が終了し、作中での科学的知見を盛り込んだ謎解き要素や壮大な終末のビジョンが大きな話題を呼び、視聴者の間では活発に考察も行われています。
今回は、設定考証・脚本をつとめられた円城塔氏とインタビュワーにSF作家オキシタケヒコ氏をお呼びして、SFファンに向けて「ゴジラS.P〈シンギュラポイント〉」の魅力を語って頂きます。(文責:茅野)
●円城塔
1972年生まれ。SF作家。2007年「オブ・ザ・ベースボール」(第一〇四回文學界新人賞)でデビュー、のち『Self-Reference
ENGINE』(早川書房)刊行。他の著作に、「道化師の蝶」(講談社、第146回芥川龍之介賞受賞)、『文字渦』(新潮社、第39回日本SF大賞受賞)など。
●オキシタケヒコ
1973年生まれ。SFものかき。著作は『筺底のエルピス』シリーズ(小学館ガガガ文庫)、『波の手紙が響くとき』(早川書房)、『おそれミミズク
あるいは彼岸の渡し綱』(講談社タイガ)など。
時間 | |
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13:00 | 開演 |
13:10〜14:10 | SFと倫理 |
14:10〜14:20 | 休憩 |
14:20〜15:20 | 中国SF再び |
15:20〜15:30 | 休憩 |
15:30〜16:30 | 怪獣動画の特異点——円城塔、ゴジラS.P〈シンギュラポイント〉を語る |
合宿企画
昼企画延長戦
本会企画「SFと倫理」「中国SF再び」「怪獣動画の特異点――円城塔、ゴジラS.P〈シンギュラポイント〉を語る」の延長戦です。出演者に質問できるチャンスもあるかもしれません(詳細は企画によって異なります)
SFファン交流会
今年の七月は通常の例会をお休みし、SFセミナー合宿企画にオンラインで出張いたします。ファン交部屋では、『100文字SF』出版から早1年、日々Twitterに【ほぼ百字小説】を投稿し続ける「マイクロノベル伝道師」こと北野勇作さんをゲストにお迎えします。皆さんでその魅力、そして100文字で表現できることについて語り合いましょう。
星雲賞
前日の7/21 13:00に第52回星雲賞の投票結果が第60回日本SF大会公式サイト上で発表されます。(正確にはプログレスポートでの掲載)
その結果に納得もあれば、納得できないこともあるでしょう。という事で、色々言いたいことをぶちまけてください。(林田茂)
ワールドコンへ行こう
今年のワールドコンDisconIIIは、新型コロナウイルス感染症や当初の会場となる予定であったホテルの倒産にもめげず、12月15日から19日に米国ワシントンDCで開催されようとしています。
当日までにはワクチン接種も進み、海外渡航制限が緩和されていることに期待しつつ、現時点での情報をもとに参加にあたってどのような準備が必要か、直接参加できない場合にはどのような選択肢があるのかなどについてレポートしていきます。(林田茂、池田武)
ジェンダーSF研究会
SFセミナー合宿企画では定番の、ジェンダーSF研究会主催「センス・オブ・ジェンダー賞第一次選考会」です。
今年は第20回目、2020年度作品が対象です。
事前に、2020年1月1日から12月31日までに発表された作品の中で、ジェンダーについての考察を深めたものをTwitterのハッシュタグ付きで募集しています。
一次選考会では、Twitterで上がってきた作品のほか、参加者の持ち寄り作品も取り上げます。
リストを眺めながら、こんな作品、あんな作品があるよねー、どこがどうジェンダーを深めているかねー、という感想大会&問題提起&作品紹介をみなさんと一緒にやっていきます。なお、あげられた作品はショートリストにしてウェブ掲示する予定です。
第一次選考会の後、ジェンダーSF研究会内で、リストの中から5作ほど絞り込み、最終選考会へと送り出していきますので、「ん?これは??」とちょっとでもアンテナに引っかかる作品がありましたら、どしどしあげてください。
それでは、皆様とお目にかかれますのを、楽しみにしております。(文責 小谷)
暗黒星雲賞
高松でお会いしましょう
野田昌宏の遺稿、長編SF『山猫サリーの歌』をめぐって
出演:冨田健太郎(扶桑社編集部。『山猫サリーの歌』編集担当)小浜徹也(東京創元社編集部)井手聡司(早川書房編集部)
SF作家・翻訳家・研究者として大人気を博した野田昌宏さんは2008年に亡くなり、13年が過ぎました。その野田さんが晩年に取り組んでいた長編SFが『山猫サリーの歌』でした。この『山猫サリーの歌』が去る6月、扶桑社より電子書籍オリジナル(+POD[プリント・オン・デマンド])作品として刊行されました。野田さんが本職のフジテレビ・ディレクターとして手がけた1960年代半ばの大ヒット番組「日清ちびっこのどじまん」を舞台にしたもので、部分部分に未完成の箇所が残されたままの形ですが、物語自体は最後まで描かれていました。今回は、本書を刊行した扶桑社の冨田健太郎さんを中心に、晩年に野田さんとお付き合いのあった東京創元社の小浜徹也に加え、野田さんの生涯の活躍の主舞台であった早川書房から井手聡司さんを司会役にお願いし、この作品について語り合います。(文責・小浜徹也)