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SFセミナー2007 企画紹介

[カテゴリ:SFセミナー2007]

本会企画

「奇想天外」の時代 10:45-11:45

出演: 曽根忠穂 高橋良平 福本直美 新井勝彦(司会)

1974年『SFマガジン』に次ぐ第二のSF雑誌として創刊され、二度の休刊をはさみ90年まで発行された『奇想天外』は、新井素子、夢枕獏、谷甲州から牧野修、山本弘まで現在の日本SFを支える作家を生み出し、数々のコラム・エッセイが誌面をにぎわせた雑誌である。また、その影響はSF界にとどまらず、別冊である『マンガ奇想天外』は大友克洋、吾妻ひでおを広く知らしめ、ニューウェイブの牙城としてマンガにおける一大運動の拠点となった。
70年代を代表する雑誌として今なお語られる奇想天外。ではその裏側は? 当時のSF界、出版界における意味はいかなるものだったのだろうか? 創刊から休刊までの編集長を務めた曽根忠穂さん、SF研究家の高橋良平さん、編集者の福本直美さんを迎え、さぐっていきたい。(文責:新井勝彦)

「アヴラム・デイヴィッドスンの思い出を語る」Remembering Avram Davidson: Grania Davis Interview 11:55-12:55

出演:グラニア・デイヴィス、中村融

短篇SFの名手として、短篇SFの黄金時代を生き抜いたデイヴィッドスンの作品がようやくまとまって読めるようになった。かつてデイヴィッドスンのよき伴侶であり、自らも作家でもあり、日本SFの翻訳者として知られるグラニア・デイヴィス氏をお迎えし、作家の思い出と当時のアメリカSFの状況を語ってもらう。インタビュアーには、デイヴィッドスンの短篇集の企画にかかわり、翻訳もしてきた中村融氏を迎え、ワールドコンでは重要なプログラムの柱の一つとなるであろう、作家インタビューの方法論をも探る、ワールドコン・プレ企画の一つとしておこなうバイリンガル企画である。

グラニア・デイヴィス

1943年生まれ。1962年にアヴラム・デイヴィッドスンと結婚、デーモン・ナイト、ケイト・ウィルヘルム、ジュディス・メリルらとミルフォード・グループを作る。長男を設けたものの、二年で離婚、ただしデイヴィッドスンとの親交は続き、共作も数多く試みている。再婚後は自作も多く発表、また日本SFの英訳も多く手がけ、日本のSF翻訳家のために翻訳勉強会で長年指導にあたった、知日家でもある。

中村融(なかむら・とおる)

1960年生まれ。翻訳家。訳書に、レイ・ブラッドベリ『塵よりよみがえり』(河出文庫)、H・G・ウェルズ『宇宙戦争』(創元SF文庫)他多数。編訳書に、アルフレッド・ベスター『願い星、叶い星』(河出書房新社)、エドモンド・ハミルトン『反対進化』、アンソロジ『影が行く』、『地球の静止する日』(以上創元SF文庫)、『不死鳥の剣』(河出文庫)など。

高橋良輔インタビュー - リアルロボットの向こう側 13:45-14:45

出演: 高橋良輔監督、牧紀子(司会)

SFファンの心を鷲掴みにした高橋良輔監督のロボットアニメ『装甲騎兵ボトムズ』の新作アニメーションの制作が現在進行中だ。そう、あのローラーダッシュの音がまたブラウン管に響き渡る日がくるのだ。『ボトムズ』の初放映は1983〜1984年。その後も監督は『機甲界ガリアン』『蒼き流星SPTレイズナー』『ガサラキ』など、ロボットアニメを作り続けた。監督の作品は単にSF設定を使用しているというだけでなく、作品全体からSFファンの心をくすぐるSFオーラを出し続けている。いったい高橋良輔とは何ものなのか、なぜこんなにもSFファンの心を掴んで離さない「ロボットアニメ」を作り続けることができるのだろう? 2007年、キリコの新たな巡礼をきっかけに、そのナゾを解き明かせるカギを見つける旅に出かけよう。(文・牧紀子)

高橋良輔(たかはし・りょうすけ)

 1943年、東京都出身。アニメ監督。脚本家。演出家。プロデューサー。スタジオあかばんてん主宰。倉敷芸術科学大学非常勤講師。
 1964年に「虫プロダクション」入社。1969年「虫プロ」退社後、CM制作会社「グループダート」へ移籍。1976年には「スタジオあかばんてん」を発足。1973年放映の『0テスター』(監督)をきっかけにサンライズ作品を手がけるようになる。
 ロボットアニメでは『太陽の牙ダグラム』以後、『装甲騎兵ボトムズ』『機甲界ガリアン』『蒼き流星SPTレイズナー』などの監督を歴任。『勇者王ガオガイガー』ではプロデューサーを担当、佐藤竜雄、大地丙太郎らの作品に演出協力として参加。さらに「日経エンタテインメント!」(日経BP社)では小説『装甲騎兵ボトムズ 孤影再び』を連載するなど、現在も多彩な活動を行っている。近作は、『モリゾーとキッコロ』『火の鳥』『幕末機関説 いろはにほへと』『FLAG』(すべて監督)など。

牧 紀子(まき・のりこ)

1962年、東京都生まれ。京都芸術短期大学日本画科卒。SFセミナースタッフ。2001年11月より、SFファンの交流を目的とする例会「SFファン交流会」(2005年9月「SFファン交流を考える会」より改名)を、fuchi-koma・平林孝之・鈴木力と共に、都内の区民会館にて毎月開催している。

こうして《異形》は10年を迎えた 15:00-16:00

出演:井上雅彦、牧野修、平山夢明、北原尚彦 司会:日下三蔵

〈10年〉〈850作品〉。『異形コレクション讀本』(編集/井上雅彦・光文社編集部 光文社文庫)を本屋で手にしたときに、まず目に飛び込んできたのがこの言葉でした。思い起こせば、SFセミナーに「オリジナル・アンソロジーの可能性」というタイトルで、アンソロジー《異形コレクション》について監修の井上雅彦さんにご登壇いただいたのが1998年。もう10年なんですね。なんと時の経つことの早いことでしょう。
今回は、前回お話をお聞きしました監修の井上雅彦さんと司会の日下三蔵さんに加え、《異形》に多数短篇を発表されている牧野修さん、平山夢明さん、北原尚彦さんにお越しいただき、850作品を越える短篇を世に輩出している《異形コレクション》シリーズについてお話を伺い、この歴史的な快挙を一緒にお祝いしたいと思います。(文/牧紀子)

井上雅彦(いのうえ・まさひこ)

1960年、東京都生まれ。ホラー作家、アンソロジスト。1983年星新一ショートショートコンテストにて「よけいなものが」が優秀作に選ばれる。ショートショートランド誌を中心に活動開始。以降幻想怪奇の短篇小説を中心に活躍。97年末より、オリジナル・アンソロジー《異形コレクション》(廣済堂文庫)のプロデュースに従事、同企画にて1998年日本SF大賞特別賞受賞、現在に至る。 作品集に『異形博覧会』『綺霊』『燦めく闇』など。
 《異形コレクション》では短篇を、「赤とグリーンの夜」「特別急行列車」「舞踏会の仮面」「死の舞踏」「ほえる鮫」「青頭巾」「十月の映画館」「知らないアラベスク」「チェックアウト」「クロノス」「デザート公」「夢見る天国」「劇薬」「JINTA」「探検」「空の淵より」「夜会も終わりに」「カクテル」「白雪姫」「極光」「花十夜」「鞍」「海の蝙蝠」「愛されしもの」「舞踏会、西へ」「離宮の主」「サイレント」「ボンボン」「夜、薫る」「モザイク――夏のチェックアウト」「スクイーズ」「翩譚集 あるいは、或る都の物語」「楽園に還る」「空中回廊」「闇の種属」「探険家の書斎」「彼と屋敷と鳥たち」「天然の魔・人造の美 谷敦志パノラマ館」〈来館者心得〉「遅すぎることはない」「うしろへむかって」「流離(さすら)うものたちの館と駅」など、41編発表。

牧野修(まきの・おさむ)

1958年、大阪府生まれ。大阪芸術大学芸術学部卒。作家。高校時代に筒井康隆主宰の同人誌〈ネオ・ヌル〉で活躍。1979年、短編「名のない家」が第2回奇想天外新人賞受賞(牧野ねこ名義)、1992年『王の眠る丘』にてハイ!ノヴェル大賞受賞。1999年『スイート・リトル・ベイビー』にて、第6回日本ホラー小説大賞長編賞佳作受賞。2002年『傀儡后』にて日本SF大賞受賞。代表作に〈呪禁局シリーズ〉『屍の王』『MOUSE』『傀儡后』など多数。
 《異形コレクション》では短篇を、「罪と罰の機械」「ワルツ」「〈非ー知〉工場」「蜜月の法」「おもひで女」「ドギィダディ」「夜明け、彼は妄想より来る」「いかにして夢を見るか」「スキンダンスへの階梯」「斯くしてコワイモノシラズは誕生する」「水のアルマスティ」「めいどの仕事」「コドモポリス」「いつか、僕は」「死者の日」「ランチュウの誕生」「読むな」「血を吸う掌編」など、18編発表。

平山夢明(ひらやま・ゆめあき)

1961年、神奈川県生まれ。作家、ライター。「デルモンテ平山」名義で、映画・ビデオ批評も手がける。1996年サイコホラー『SINKER−沈むもの−』でデビュー。「独白するユニバーサル横メルカトル」で、第59回日本推理作家協会短編賞受賞。短篇集『独白するユニバーサル横メルカトル』が「このミステリーがすごい!2007年版」2007年度国内部門第1位受賞。ノンフィクション『異常快楽殺人』、実話怪談シリーズ『「超」怖い話』、体験談を集めた『東京伝説』、過去に実在した猟奇殺人犯のルポ『異常快楽殺人』など実話怪談の名手としても名高い。
 《異形コレクション》では短篇を、「Ωの正餐」「卵男(エッグマン)」「怪物のような顔(フェース)の女と溶けた時計のような頭(おつむ)の男」「アナーキー・イン・ザ・UK」「けだもの」「実験と被験と」「枷〈コード〉」「独白するユニバーサル横メルカトル」「オペラントの肖像」「それでもおまえは俺のハニー」「ヤープ」「≒0.04%」など、12編発表。

北原尚彦(きたはら・なおひこ)

1962年、東京都生まれ。青山学院大学理工学部物理学科卒。作家、翻訳家。古本研究書『発掘!子どもの古本』(ちくま文庫)、『SF奇書天外』(東京創元社・2007年夏刊行予定)。『本の雑誌』2001年1月号から「北原古本旅」連載中。翻訳にA・A・ミルン他『シャーロック・ホームズの栄冠』(論創社)、コナン・ドイル『クルンバーの謎 ドイル傑作集3』(共編訳・創元推理文庫・2007年5月刊行予定)など。
 《異形コレクション》では短篇を、「血脈」「蜜月旅行」「下水道」「新人審査」「朋類」「帰去来」「人造令嬢」「遺棄船」「貯金箱」「映画発明者」「首吊少女亭」「天蓋寝台」「愛書家倶楽部」「屍衣館怪異譚」など、14編発表。

日下三蔵(くさか・さんぞう)

1968年生まれ。ミステリ・SF研究家、編集者、アンソロジスト。編著に『怪奇探偵小説傑作選』(ちくま文庫)、『山田風太郎ミステリー傑作選』(光文社文庫)、『本格ミステリコレクション』(河出文庫)、『天城一の密室犯罪学教程』(日本評論社)、『都筑道夫少年小説コレクション』(本の雑誌社)、『三橋一夫ふしぎ小説集成』(出版芸術社)、『中村雅楽探偵全集』(創元推理文庫)など。

合宿企画

合宿は本会終了後、18時ころより開場の予定です。
企画内容についてはSFセミナー2007 合宿企画をご覧ください。