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【スライド 34/45】 SFのジャンルと「スクリプト」


【スライド34】SFのジャンルと「スクリプト」
【スライド34】SFのジャンルと「スクリプト」
 もうひとつは「スクリプト」です。こちらはシャンクの説に出てくるもので、前もって一括された因果関係の系列、と説明されます。簡単にいえば、「××のときには××するものだ」というハウツー知識です。つまりですね、物語の中には因果関係の原理というのがある。その因果関係の中に非現実的なものが入って、スクリプトが大きく混乱するのがホラーやファンタジー、SFなんだと森下さんは説明するわけです。ではSFは他のジャンルと何が違うのか。森下さんは次のようにいいます。
「SFの場合(ミステリと違って)因果関係を構成する原理に非日常的なものが入りこんでいてもかまいはしない。(中略)問題は、そうした原理があたかも現実であるかのように尊重されているかどうか、という点である」
 ホラーやファンタジーでは因果関係の原理を最終的に説明する態度は見られない。ここがSFとホラーやファンタジーの分かれ目なんだというのです。

 つまり『パラサイト・イヴ』でミトコンドリアがどうのといったとき、SFファンが「あれはSFじゃないよ」というのは、この因果関係に即していないからと捉えられたからなんですね。では、どうしてホラー大賞受賞作がSFとして読まれて、最後に「これはSFじゃない」といわれてしまうんでしょうか。SFファンの中で、この関係原理の混乱が起こっているのではないか、と僕は考えたんです。



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