表紙>はじめに>講演内容>質疑応答>反響に対して>資料請求先 【スライド 31/45】 「センス・オブ・ワンダー」?
例えば、こういう状況を考えてみてください。あるAという書物を読んで、SOWを感じて世界構造のフレームが変わった人物Bという人がいるとします。僕はその書物を読んでいません。あるいは読んだけどSOWを感じなかった。僕を人物Cとしましょう。そうしたときに、人物Bの中では全世界のフレームが変わっているわけですから、当然、僕についてのフレームも変わっているはずです。ところが、僕が人物Bを観察したとき、彼がなんとなく変わっているというのはわかるんですが(笑)、僕自身は変わっていない。つまり、彼の中で僕というフレームは変わっているのに、僕の中で僕のフレームは変わっていない。人物Cにとっては、自分が変化していないという確たる証拠によって、人物BのSOWを否定せざるを得ないわけです。ここに齟齬がある。つまりSFのSOWは外部からの観察行為によって矮小化されてしまう。人物Bと人物Cは心象を共有できない。これがSOWを共有できないことの理由ではないか、と僕は思ったんです。だからこれはフレーム構造に原因がある。 【スライド 32/45】 SFの限界性?
森下さんの『思考する物語』では、フェミニズムSFに対する論評の歯切れがいまひとつなんですが、これは示唆的だと思います。女性にとって勝手に自分を再構築されてしまった男性は、どうも居心地が悪くなる。女性にとってのSOWが、男性にとってのSOWにつながらない。 【スライド 33/45】 つまり……
【*註】これについては多数の反論も出た。「講演後の反響に対して」で述べる。 |
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